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2004.03.02更新

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暫定文書


1. ことばとは何か

(2004年06月23日)


2004年06月23日改

ことばとは何か


妙なタイトルで申し訳ありません。しかし、言語あるいはことばとはいったい何か、ということをはっきりさせておかないと、ことばについての当たり前の談義さえわけがわからないことになりかねません。ですから「ことばとは何か」について共通の了解をしておくことはとても大事なことだと私は考えています。以下では私が考えている“ことば”のことを<ことば>、あるいは<言語>と表記することにします。

では、私の考えている<ことば>あるいは<言語>とはどんなものかといいますと、それは昔から日本人が「ことば」と呼んできたもの、ふつうに日常生活で使っている「ことば」のことです。話しことばとか書きことば手話点字…など、人々がお互いの意思疎通のために使っているモノ、そういうモノが<ことば>であると私は考えています。

もちろん「んぱしごぶへ」などといったでたらめな発声や、たとえ紙に書かれてはいても「めろげのほにけ」などのような単なる文字の集合などは<ことば>とはいえません。手話や点字でも同じです。「意味のない」こういったモノは<ことば>とはいえません。したがって<ことば>とは「意味のあるモノ」です。

モノとは人間が五官を通じて知覚できる物理的・化学的な物質あるいは現象のことで、話しことばや書きことば、手話、点字…はすべて知覚可能な物理的・化学的な物質や現象ですから、<ことば>がモノであるということについては異論はないと思います。問題は「意味がある」とはいったいどういうことなのかということでしょう。これについては私自身もなんとなくそんな気がするといった程度の認識しかもっていませんでした。そんな私に明確な認識を与えてくれたのが三浦つとむでした。

『日本語はどういう言語か』(講談社学術文庫)の中で、三浦は

〔14ページ〕
言語も絵画も、人間がその認識を見たり聞いたりできるような感覚的なかたちを創造することで外面化し、それによって他の人間に訴えるという点で、別のいいかたをするなら、作者の表現であり精神的な交通の手段であるという点で、共通しています。

〔44ページ。太字は原著〕
音声や文字にはその背後に存在した対象から認識への複雑な過程的構造が関係づけられているわけで、このようにして音声や文字の種類にむすびつき固定された客観的な関係を言語の「意味」とよんでいるのです

と書いています。

つまり、人と人との精神的な交流のために、ある社会のなかで規定された一定の種類の音声や文字などを用いて個々の人間が創造した表現が<言語>であり、表現された文字や音声にはその社会の中で規定された固有の言語規範に媒介されて成立する客観的な関係として意味が結びついている、というのです。ここでいう言語規範とは「ある概念にはどういう語を用いるか」とか「ある一定のことがらやある一定の関係の概念を表すにはどのような語順やいい回しを用いるか」とかいった社会的な約束のことで、簡単にいえば語法や文法、文章法などの規則、すなわちその社会における言語表現についての普遍的な規範のことです。

そこで、言語表現に関するこの普遍的な規範の中に、どのような音声や文字を用いるのかについての規定も含めて、これを<言語規範>とよぶことにすれば、<ことば>とは<言語規範>の規定にもとづいた表現であり、<言語規範>に媒介されて成立する客観的な関係として<意味>が結びついているものである、ということになります。もちろん、これだけでは<ことば>について定義したことにはなりませんが、<ことば>について議論するための土台にはなるのではないかと思います。

さて、三浦が指摘するように、個々の具体的・個別的な言語表現の背後にはその言語表現を行なった個人の 対象→認識→表現 という肉体的・精神的過程である言語表現活動が存在しており、その過程の内には、言語規範に媒介されたその個人の個別の特殊な認識・表現過程が存在しています。いいかえれば、<ことば>には言語規範に媒介された客観的関係としての<意味>が、つまり表現者の個別の特殊な認識・表現過程が結びついているのです。

したがって<ことば>には、普遍的側面だけでなく、表現者の個別の特殊な認識・表現過程としての特殊の側面が、<言語規範>に媒介された関係として結びついていることになります。このように認識・表現過程においては、概念(意味)は二重化(普遍/特殊)しており、表現された<ことば>にもこの二重化した概念(意味)が結びついています。

以下追記
「言葉とは何か」については私のブログ『ことば・その周辺』のカテゴリー【言語>言語本質論】の記事を、また、言語の意味については、カテゴリー【言語>意味】の記事をご覧下さい。



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